沖縄の住宅を構成する要素として、最も代表的なのは「シーサー」です。
建物の門や屋根に魔除けの魔獣として鎮座しています。
所説ありますが古来は古代オリエントで獅子の神として伝えられており、
内地の神社の狛犬と同様に魔除けとして祀られています。
以外と知られていないのが、実は正しい配置の仕方は対にして2体配置するのが一般的です。
シーサーを正面向かって、右側が口を開けている雄、左側が口を閉じている雌です。
因みに屋根の上に1体だけ置く際には口を開けている雄となります。
シーサーが向かう方向は、邪気が流れるとされる鬼門(北東)に向かって、
または南側に向かってとなります。
最近ではお土産で小柄なサイズのシーサーもありますので、ご自宅に置く際には
方位や向きを気にしてみて下さい。
伝統的なシーサーは漆喰や素焼で出来ており、大型で非常に高価なものになります。
近年では小型なものや簡略化した設えなども多くあります。
タイルの様に平面的な意匠になったものや、照明器具と一体となったものなどもあります。
住宅をデザインするにあたり、沖縄の琉球王朝から続く風土や伝統を尊重しながら、
現代に即したデザインを如何に適合していくかというのは、
ものづくりの立場から考えると常に興味がやまないものです。




文・写真:村上 信太郎