建築資材としての歴史は古く、ラテン語のtegula(狭義には〈陶製の屋根板〉、
広義にはものを〈覆うこと〉の意)に由来するタイル。
近世以降、英語のタイルという語は屋根や壁や暖炉などの建築の表面にはられた薄板の意味で、
現代では必ずしも陶製とは限らず,建築物の内外の壁面や床面を保護したり
装飾用として貼り付ける板状の建材をさします。
タイルというと住宅で使用されているものは陶磁器タイルが主であるため、
平板状焼成品で化粧タイルの事をイメージされる方が多いと思いますが、
材質は陶磁器以外にも、コンクリート、プラスチックなど各種あります。
その起源は古く、紀元前4000年代の古代エジプト、
メソポタミアを中心に彩色されたタイルが神殿や墳墓の一部に用いられました。
7世紀以降は主にイスラム圏 (特にペルシア) を中心として装飾タイルで飾る建築様式が発達。
13世紀ごろからモスクや王宮に用いられ始め、やがて民衆の住宅にまで用いられるようになります。
ヨーロッパで普及しはじめたのは12世紀頃。
聖堂や公共建築物に利用されたことで、
タイルというとヨーロッパをイメージされる人もいらっしゃいます。
産業革命以降、生産方法が機械化されるにつれて、
種類は増え、性能も向上し、 20世紀以降は現在の多種多様なタイルが生み出されました。
最近は簡単なDIYとして自身でタイルを張り、
インテリアに彩りを添えられる 方も増えております。
蚤の市などにふらりと足を運び、一期一会の趣のあるアンティークタイル探しをされてみてはいかがでしょうか。



文:村中 陽平
写真:Photo AC